
子どもにも伝わる、まっすぐな命の記録
小学校教師時代、図書室に用事があってたまたま見かけたのが、この本でした。
『心のおくりびと 東日本大震災復元納棺師〜思い出が動き出す日〜』
今西乃子 著/浜田一男 編集・写真
ちょっとだけ読んでみようと手に取り、気づけばその場を動けなくなり、最後まで一気に立ち読みしていました。涙を流しながら…。
この本は、復元納棺師である笹原留似子さんが被災地に入り、ボランティアで300人以上の方々を復元していった150日間のノンフィクションです。
命の尊さ、人を思う気持ちを伝えたい
津波によって深く傷ついてしまったご遺体を丁寧に整え、生前の面影を取り戻すこと。それは、ご家族が安心して最後のお別れを告げ、悲しみの中で心の区切りをつけるために欠かせない大切な仕事でした。対面をし、悲しみに沈む遺族がようやく涙を流し、心の区切りをつけていく様子が描かれています。
児童書ですが、東日本大震災のつらい現実や復元納棺師の仕事がリアルに描かれており、命の重さがまっすぐに伝わってきます。
東日本大震災から15年以上の月日が流れた今、あの日に何が起きたのかを知らない世代も増えてきました。だからこそ、この本を通じて、命の尊さや人を想う心が、これからも子どもたちへ受け継がれていくことを願ってやみません。
復元納棺師は、事故や災害などで傷ついたご遺体を生前の姿に近づけるよう様々な手当てを施し、外見の修復だけではなく、ご遺族が最期のお別れに安心して向き合えるよう支えるという専門職です。ご遺族の深い悲しみ(グリーフ)に寄り添い、再び歩み出せるよう見守る「グリーフケア」の一環として、大切な思い出や絆を取り戻す重要な役割を担っています。
田中 伸也のコラム
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