本質を考える

本質を考える

先日、安宅和人さんの著書『ISSUE(イシュー)からはじめよ』を読み返していました。

この本で語られているのは、「効率よく仕事をする方法」ではありません。
もっと根本的な考え方です。
私たちは、問題が起きると「どう解決するか」を考えがちです。

しかし安宅さんは、その前に考えるべきことがあると言います。
それは、
「本当に解くべき問題は何なのか。」
という問いです。

これを「ISSUE(イシュー)」と呼びます。

どれだけ優秀な人でも、解くべき問題を間違えれば、その努力は大きな成果にはつながりません。
反対に、本当に解くべき問題を見極めることができれば、限られた時間や労力でも、大きな成果を生み出すことができます。

安宅さんは、成果の差は「どう解くか」ではなく、「何を解くか」で決まるという考え方を示しています。

私は、教育にも経営にも通じる考え方だと感じました。
仕事をしていると、毎日さまざまな課題があります。
 授業や面談の質を高める。
 入試問題を分析する。
 教室運営を改善する。
 AI教材の活用を研究する。
もちろん、どれも大切な仕事です。

しかし、その一つひとつに取り組む前に、私はいつも「問い」を立てるようにしています。
 今見えている課題は、本当に解くべき課題なのか。
 目の前の現象だけを追いかけていないだろうか。
 その現象を生み出している、本当の原因は何なのか。
 そして、その原因を解決すれば、他の課題まで一緒に解決できるのではないか。
経営には、「正しい答え」が最初からあるわけではありません。
だからこそ、答えを探す力以上に、良い問いを立てる力が求められるのだと思います。

実は、この考え方は勉強でも同じではないでしょうか。
 数学が苦手だから、たくさん問題を解く。
 英語が苦手だから、単語をたくさん覚える。
もちろん、それは決して間違いではありません。
努力の量は、必ず力になります。

ただ、その努力と同時に考えてほしいことがあります。
 「なぜ間違えたのだろう。」
 「何が理解できていないのだろう。」
 「今の自分に本当に必要な勉強は何だろう。」
そんな問いを持ちながら勉強する人は、同じ一時間でも学びの質が変わってきます。

私は、仕事も勉強も共通していると思っています。
ただ頑張るのではなく、常に本質を考え続けること。
その習慣は、勉強だけではなく、仕事にも、人との関わりにも、そして人生そのものにも生きてきます。

勉強とは、知識を増やす時間ではありません。
物事の本質を考え、価値ある問いを立てる力を育てる時間です。
その力は、受験の合格だけでなく、その先の人生を切り拓く力になると、私は信じています。