
ある生徒との出会い
塾講師としての自分の成長を強く実感したのは、ある一人の生徒との関わりがきっかけでした。
その生徒は、入塾当初、英語に対して強い苦手意識を持っていて、単語テストでも思うように点が取れず、
「どうせやってもできない」
と、いつも口にしていました。
私は何とか結果を出させたいと考え、課題を増やし、解き方を丁寧に説明し続けました。しかし、結果はなかなか変わらず、むしろ生徒の表情は次第に暗くなっていったのです。
生徒を見ていなかった・・・
そのとき初めて、自分が「教えること」に意識を向けすぎて、「生徒を見ていなかった」ことに気づきました。
できない原因は理解不足だけではなく、自信のなさや過去の失敗体験にあるのではないかと考え、指導の仕方を大きく変えることにしました。
まずはできていることに目を向け、小さな成長を言葉にして伝えることを徹底し、課題の量を調整し、「これならできる」という成功体験を積ませることを優先するようにしました。
苦手な英語がスキに変わった!
すると、少しずつ生徒の姿勢に変化が見え始めた。前向きな発言が増え、分からない問題にも自分から向き合おうとする姿が見られるようになってきたのです。
そしてある日、単語テストで初めて目標点を超えたとき、その生徒が見せた嬉しそうな表情は今でも忘れられません。その後も成績は徐々に伸び、最終的には「英語が一番好き」と言ってくれるようになりました。
原点となる大切な経験
この経験を通して、塾講師として本当に大切なのは、「正しく教えること」以上に、「生徒が前を向ける状態をつくること」だと学びました。
どれだけ良い指導をしても、生徒自身が「やってみよう」と思えなければ意味がありません。
だからこそ、一人ひとりの背景や気持ちに目を向け、その子にとっての最適な関わり方を考え続けることが必要であると強く感じました。
あの生徒との出会いは、自分の指導を見つめ直す大きなきっかけとなり、「生徒と向き合う」ということの本質を教えてくれました。
今でも迷うことは多いですが、この経験を原点として、生徒一人ひとりに寄り添いながら、いつまでも自分自身も成長し続けていきたいと考えています。
