先日、ある大学の理事長と教育観についてお話しする機会がありました。
その中で、とても印象に残った言葉があります。
「教養の種を植える」
短い言葉でしたが、その中に教育の本質が込められているように感じました。
教養とは、知識を増やすことだけではありません。
「もっと知りたい」
「もっと学びたい」
そう思う心を育てること。
その小さな種を、子どもたちの心に植えることなのだと思います。
歴史を学んだことがきっかけで、お城や文化に興味を持つ。
理科を学んだことがきっかけで、夜空を見上げるようになる。
英語を学んだことがきっかけで、海外の本や映画に触れてみたくなる。
教科書の中だけで終わるのではなく、その先へ学びが広がっていく。
そんなきっかけを与えることが、教育の大切な役割ではないでしょうか。
その理事長は、さらにこう話されました。
「その種が育ったら、今度はその人が次の人へ伝えるようであってほしい」。
学びとは、自分の中に蓄えるだけのものではありません。
誰かから受け取った学びを、自分の中で育て、今度は次の誰かへ受け渡していく。
その積み重ねによって、人は育ち、文化は受け継がれ、社会は少しずつ豊かになっていくのだと思います。
教育とは、長く、果てしない営みです。
今日植えた一つの種が、いつ芽を出すのかは分かりません。
十年後かもしれません。
何十年後かもしれません。
それでも、その種は誰かの心の中で育ち、やがてまた次の誰かへ受け継がれていく。
改めて私は、「教育とは未来へ種を植え続ける仕事なのだ」と思いました。
