バーチャルウォーター

バーチャルウォーター

先日、ニュースを見ていて「水破産」という言葉を知りました。
なかなか衝撃的な言葉です。
調べてみると、今年1月、国連大学の研究機関が「世界は水破産の時代に入った」とする報告書を発表していました。

単に一時的に水が足りないということではありません。
川や地下水などを、自然が補充できる量を超えて使い続け、元の状態に戻ることが難しくなっている。
そんな状態を「水破産」と表現しています。
これは少し勉強してみたいテーマだなと思いました。

今回は、その中で知った「バーチャルウォーター」について。
日本は水の豊かな国です。
雨も降りますし、蛇口をひねれば当たり前のようにきれいな水が出てきます。

ところが、私たちは目に見えないところで、大量の海外の水に頼って生活しています。
それが「バーチャルウォーター」です。
例えば、海外から牛肉を輸入したとします。
牛肉そのものを運んでいるのであって、水を運んでいるわけではありません。
しかし、牛を育てるためには水が必要です。
さらに、牛が食べるトウモロコシなどの飼料を育てるためにも大量の水が必要です。

つまり、牛肉を輸入するということは、見方を変えれば、その牛肉を作るために海外で使われた「水」も一緒に輸入していることになります。
環境省では、牛肉1kgを生産するために必要なバーチャルウォーターを約20,600リットルとしています。

もっと身近なもので考えてみます。
牛丼一杯。
環境省の試算では、一杯の牛丼に使われる食材を生産するために必要なバーチャルウォーターは、約1,889リットル。
500mlのペットボトルにすると、約3,780本分です。

もちろん、牛丼一杯を食べるたびに1,889リットルの水がその場でなくなるという話ではありません。
その食材が私たちの目の前に届くまでに、それだけの水資源が関わっているということです。
そして、日本が海外から輸入しているバーチャルウォーターは、2005年の推計で年間約800億立方メートル。

これは、日本国内で使われる年間の水使用量と同じくらいの量です。
蛇口から出てくる水だけが、私たちが使っている水ではない。
普段、こういう観点から水のことを考えることは、なかなかありません。

そう考えると、遠い国の水不足も、日本と無関係ではありません。
海外で干ばつが起きる。
地下水が減る。
農作物が育たなくなる。
食料の生産量が減る。
そして、輸入に頼っている日本の食卓や食料価格にも影響する。

世界はつながっています。
そして、こんなことを調べながら、もう一つ思ったことがあります。

やっぱり、5教科って大切なんですよね。
水がどのように循環するのかを知るには、理科が必要です。
世界のどこで水不足が起き、どこで農作物が作られ、日本がどの国から輸入しているのかを知るには、社会が必要です。
1,889リットルや800億立方メートルという数字が、どれくらいの大きさなのかを考えるには数学が必要です。
資料を読み、その言葉が何を意味しているのかを正しく理解するには国語が必要です。
そして、世界で発表された情報を直接読もうと思えば、英語が必要です。

「こんな勉強、何の役に立つの?」
子どもたちからよく聞く言葉です。
でも、世界で起きている一つの出来事を理解しようとしただけでも、これだけいろいろな教科がつながっています。
5教科は、受験のためだけに勉強するものではありません。
自分たちが生きている世界を知るための基礎なんですよね。

「水破産」。
私もまだまだ知らないことばかりです。
もう少し勉強して、また書いてみたいと思います。